2004年前半(1-6月) 日々雑感の目次へ トップページへ

4月19日:

10日を経て、3人とも無事に帰ってきましたね。
その他にも2人のジャーナリスト人質事件がありましたが、こちらも無事解決。
で、自業自得だの税金泥棒だのいろんな論評がありました。
今回、各マスコミの特徴が論調に現れていましたね。
読売・産経 対 朝日・毎日 といったところでしょうか。

今回については、ぼくにしては珍しく 読売・産経の意見が腑に落ちます。
朝日新聞の19日「声」欄では、
「イラクの平和と復興のために活動しようとした3人は、
同じ目的で自衛隊を派遣したはずの政府からすれば「同志」ともいうべき 人々だ」
と、自説を主張している人がいる。
政府がイラクから退避するよう13回も勧告を出していた事実を 無視した発言である。
これを「声」欄の筆頭にもってくるということは、 朝日新聞のもうひとつの社説ということだ。

事実はひとつしかないのに、世界観を異にする人によって 正反対の意味をもつように解釈されてしまうのだ。
今後、政治的に微妙な(=勝手な解釈がとりうる)事象が 起こることが増えると思う。
というのも、日本人の価値観・世界観が一様でなくなっていると感じているから。

4月8日:

4月7日に、イラク国内で日本の民間人3名が誘拐され、人質になりました。
3日以内に自衛隊がイラクから撤退しないと、3名を生きたまま焼き殺すそうです。
さて、3日後どんな事態になっているでしょうか?
同じ日に、韓国人やイギリス人も誘拐されています。


4月6日:

朝早く目覚めてしまうもので、夜が明ける前に新聞をゆっくり読んだりしてると、 いろんな重要なことごとが起こっていることがわかります。
 4月6日の朝日朝刊「オピニオン」面の記事 「内部告発者 どう守る」について書いてみたいと思います。 (www.asahi.comに掲載なし)

 法案提出者が「政府」だというところに、まずひっかかります。
つまり、政府が意図しているところは「内部告発者保護」ではなく、 逆に「内分告発を牽制する」ことではないのか?と。
というのも、この記事に対し、3者が意見を陳べてているが、
日本経団連消費者法部会会長代行(三菱商事理事)の大村多聞氏の 意見のタイトルが「必要悪、運用見守る」というたいへん消極的なものになっており、 それに対し、 公益通報支援センター共同代表(弁護士)の片山登志子氏のほうは 「早期通報阻む恐れ」となっており、
ぼくは後者のほうに共感するからだ。

そのまま書いてしまいますが、
法案のままでは、保護されるための要件があまりに厳しく、対象もせまい。修正が必要だ。
 京都府の養鶏場で発生した鳥インフルエンザは匿名の通報で発覚した。 通報者がこの養鶏場の従業員だったと仮定した場合、 事態はどうなるか。 法案では犯罪行為の通報しか保護されないので、届け出義務違反の段階になるのを待たなければならない。犯罪を犯していると「信ずるに足りる相当の理由」も備えていなければならない。 これでは、早い段階での通報を抑制しかねない。  六本木ヒルズの回転ドア事故を考えても、内部で危険性に気づいていた人はいたのではないか。 ためらうことなく、しかるべきところに、その危険性を伝えられる仕組みの必要性が浮かび上がった。犯罪とまではいえない法令違反も、法令違反ではなくても個人の生命・身体・財産への危害の恐れが在る場合も対象にすべきだ。 法案の最大の問題は、外部通報の手続き要件が厳しいことだ。 山行とされた英国の公益開示法と比較しても、ハードルの高さは歴然としている。 組織内部や行政機関に通報したけれども、適切な措置がとられず、 外部に通報するのが合理的であると判断できる場合などは、 保護対象に加えるよう修正すべきだ。  この法案を一読した人は「公益通報というのは よほどのことでないと保護されない」と受け止めるのではないか。  公益通報を大事にすることは、公正な社会をつくり、企業のコンプライアンス(法令遵守)経営を促進することにつながる。 そういう意識や文化を日本の社会に醸成することが立法の目的であるはずで、 それが読みとれる内容にするべきだ。
記事には、英で施行中の類似制度内容がかかげられているが、ここでは省略
  保護される通報内容 通報先 救済の方法
日本
公益通報者保護法案
国民の生命、身体、財産などの利益の保護にかかわる法律(個別に指定) に犯罪として規定されている行為など 1.通報者の勤務先 2.行政機関 3.その他の外部 ーに大別され、 通報者が保護されるための要件は順に厳しくなる 解雇などの不利益を受けた労働者が、自ら勤務先を訴えるなどする。 行政機関や捜査機関は原則として介入しない
米国
内部告発者保護法
政府内部での法令違反、重大な管理不備・浪費、権限乱用、公衆の健康や安全への具体的危険(通報者は政府職員) ▽通報者が所属する政府機関の監査官▽大統領直属の特別顧問局▽報道機関 ーなどで特に制約はない 特別顧問局に申し立てる。同局は調査し、問題があれば是正させる。 訴訟を起こすこともできる。


公益通報支援センター(通称・内部告発支援センター)

4月3日:

NHK アナログBS1の「ディベートアワー 63億人の地球」を見ました。 今週のお題は「広がる格差とどう向き合うか」というものでした。
日本国内の地方対都会の経済格差だけを取り上げた番組でした。
パネリストは、年収300万円生活をぢさんの森永卓郎、鳥取県知事・片山善博、 阪大教授で、政府の経済諮問委員(=御用学者)の本間正明、 テレ東のWBSでよく見かけるイェスパー・コール(今は金融評論家?) の4人、そして一般視聴者でした。

 本間が来休めに「小泉内閣の構造改革路線により、景気回復も実現し、 雇用も徐々に増えてきた」と言っていますが、 森永・片山組のほうは全く実感がない、といった感で意見がかみ合いません。
 月10万の図書館非常勤職員という視聴者が 「勝ち組の人も、私のような負け組が同じ地域コミュニティーの中にいることを 認識して、コミュニティー活性化に力を貸してほしい」と要望していましたが、 うまく行くでしょうか?
 ぼくは、わずかな勝ち組の その他ほとんどの負け組の双方が、 せまい国土に同居しなければならないという、きわめて住みづらい社会が 実現するという気がするのですが。

 勝ち組は「自分たちが」安全快適に過ごすために、国の仕組みを変えていくんでしょうね。当然そうする財力、政治力をもっているし。
 で、残りほとんどの負け組は、窮屈で不安なところに押し込められることに なるんでしょう。
月給10万の仕事が来月もあるかどうかわからない、というような。

 収入による社会階層の格差もそうですが、地域格差もひどくなりますね。
主に国政が責められていました。
北海道ニセコ町役場の職員が出てきて言ってましたけど
「国から毎年助成されていた、保育園の運営資金年間2500万円が全額カットされた。 関係ないところで、700万円の補助金が加わった。 これでどうしろ(保育園の運営を)、というのか?」 というものだった。
国(中央官庁)は自分たちの権益に関わる補助金は減らさないが、 地方の行政義務に必要な補助金をカットしてしまう。
地方行政が成り立たなくなるではないか、という非難が相継いでいた。
権力を握っている者が自らそれを手放すようなことはあり得ない。
これは自明である。 この歪みを変えられるのは、国政選挙ということに なるのだろうが。それがうまく機能していないように思われる。

片山善博の素顔に迫る
本間正明プロフィール
イェスパー コールのプロフィールが載っているページ
森永卓郎

2月5日:

この日々雑感のほうにも、いろいろ書いていかねばならないと思ってます。
どうも日々の仕事に頭の中を占領されてて、大所高所から社会を見る気持ちをなくして しまってるんですね、日頃。
たまに、時間があったりすると(そして、体調が悪いと却ってか) 世間(世界)のことが気になったりするんですね。
メールニュースで国際情勢のことを送ってくれるのはないかな?
(産経新聞系は不希望。実際、産経系のメールニュースはあるんだけれど、 こればかり見てると偏向してしまいますから)

2月4日:

 なかなか整理できなかったことを朝日新聞のコラム (書いたのはフランス人の学者)がうまく解説してくれてるので、 その件についてメモっておきます。 自分の備忘用にもと思って。


あながち、トンデモ理論とはいえないと思いますよ。 CNNやFOXばかり見てるひとには「トンデモ」と思われるかもしれませんが、 BBCなんかは、けっこう迷いながら報道してるし、 ZDFやa2ではこういう論調ですよね。

朝日新聞 2月4日朝刊 オピニオン面の「アメリカを問いただす」 というコラムでエマニュエル・トッドというフランス人 人類・歴史学者の意見を 載せています。(www.asahi.comには該当ページがない)
「米こそ世界混乱の源」というタイトルです。


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記事いわく、
「欧米間には、戦略的利益や認識で大きな違いが生じている。 欧州は交渉の文化とでも云うべき体質を身につけつつあり、 紛争を武力で解決することはもうあり得ない。 独仏の結束にロシアも加わったが、この3カ国は過去に相争い、 何百万、何千万という犠牲者を出した。 惨禍の歴史を土台に欧州は、経済面でも相互依存による均衡重視の立場をとる。 この店は日本とも共通している。」

−米国は違う、と。−
「米国は逆に、不均衡を基調とする体質になった。 世界の資本を強引にでも自国に集中させるため、 軍事的手段を絶えず機能させていないとやっていけない国になったのだ。 世界のどこかに紛争を必要とし、そこで自分の軍事力を誇示しようとする。 私はこれを、軍事ショーという意味で『劇場型ミクロ軍事主義』と呼んでいる」

−米国は民主主義の旗手だったはず。なぜ、そんなふうになったと考えていますか。−
「たしかに米国は20世紀、とくに第二次世界大戦後からしばらくの間は輝いていた。 欧州世界の植民地主義がアジアなどで犯した過ちをぬぐい、 世界 に平和と民主主義をもたらすのに多大な貢献を果たした。 ところが西側でまずスペイン、ポルトガルなどの独裁制が倒れ、 続いて共産主義もほぼ崩壊して、米国が民主主義の核である意義がにわかに色あせた」

「並行して、米資本主義の変質、衰退が始まった。デリバティブ(金融派生商品)の例のように何を生み出しているのか疑わしい『生産性』が幅を利かせる。 企業は訴訟で賠償金を取ることに血道を上げる。 一方で、貿易・財政の赤字がふくらむ。 米国の実情は、資本主義として明らかに常軌を逸しつつある。 周りがそれをやかましく云わないのは、米国の消費で世界経済が支えられていると考えているからだ。 しかし、このメカニズムは限界に達している。」

−それが世界秩序混乱の構造である、と。−
「民主主義の核としての輝きを失ったうえ、 経済的には不安定要因の核になってしまった。 ドルの弱さがそれを象徴している。 ドル安の意味するものは、実は外交力を含む米国全般への信頼低下だ。 このことへの危機意識が世界に対する米国の攻撃的姿勢を生んでいるとすれば、 放置できない。 日本銀行がドルを懸命に支えているのは、世界の安定に寄与し、英雄的だとさえいえる」

−米欧は経済面でも対立している?−
「米国がいま真の脅威と感じているのは、国際テロ組織アルカイダよりむしろ 欧州通過ユーロだ。 ユーロこそが世界におけるドルの、言い換えれば米国そのものの基軸性を脅かす。 米国はいまや欧州を係争相手と位置づけている。 これが米欧摩擦の底流だ。 私はハンチントン氏の『文明の衝突』論には必ずしも同感しないが、 その衝突が最初に米欧間に起きたとすれば皮肉な話だ」

−最大の覇権国が常軌を逸したとあうれば由々しいことだが、 今後正常に戻ると考えますか。−
「米国の先行きを楽観視する意見がある。 現状は9・11テロ後の特殊な状況だ、ブッシュ政権下で一時的におかしくなっているだけ、 イラクの失敗に学んでいつかは態度を改める、と。 そう願いたいが、確証はない。米国はそもそも正常な資本主義を取り戻そうとする意思も度量もなくしたのではないか。 航空産業をとっても、欧州のエアバスとの競争を通じてでなく、 軍事に特化することで生き延びようとしている。」

−国際社会はイラク開戦にあたっても有効な対処を欠いたように見えます。 今後どうしたらいいのでしょう。−
「歴史は、国家は常に理性的だとはいえない、と教える。 諸国の政治指導者がなすべきは、米国に対し、譲歩せずに批判すべきを批判し続けることだ。 それは反米主義を意味しない。 世界秩序に正しい均衡を目指すのが目的なのだ。」
「その点で英国・ブレア政権の姿勢は弁護しがたい。 英国にはほかに多くの友(同盟国)があり、 地政学的な安定にも恵まれ、米国を批判できる立場にありながら、 そうしなかった」

−日本は米国の追随者に見えますか。−
「英国と比べ、日本の立場はそれなりに理解できる。 この国はアジアにさえ真の友がいない。 いま米国と手を切れる状況にはない。 しかし世論は欧州に似て、反戦の意識が強い。 象徴的な数の自衛隊部隊を限定的な任務(復興支援)のために送り出すという決定は、 苦悩の選択の結果だろう。 その決定も時間をかけて下された」
「問題は日本の同盟の相手が米国だけ、ということだ。 世界最強のこの相手は、絶えず戦争・紛争のタネを探し回り、 折あらばこそ日本も巻き込もうと狙っている。 日本には米国以外の選択肢も必要だ。 選択肢が米国だけ、というのは選択肢の名に値しない」

−米一極支配の現状に国連もまたなにをすべきか、途方に暮れているようです。−
「イラク事態で国連が無力だったと見るのは完全な誤りだ。 世界がこれほど国連の論議に注目したことはかつてなかった。 しかも安保理は米国の意向に正面から立ちはだかった。 多国の集まりである国連は、欧州連合(EU)と同じく、攻撃的組織にはなりえない。 力の支配への調整役として機能しているし、そうし続けるだろう」 「問題があるとすれば米国が支える軍事力と、日独に代表される経済力とが、 国連の機能の中でうまくかみ合っていないことだ。 私は日独が安保理で重要な役割を与えられるべきだと考える」

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1月2日:

年頭から「Michal Collins(アイルランド独立戦争)」の映画を見ています。
暴力で圧倒的に優る支配者から自由を勝ち取るには、
ゲリラ戦しか手だてがないのだ、ということでしょうか?
世界世論などというものは存在しない。
強国によって報道が支配されているこの時代において。
もしかしたら、インターネットの中に世界世論はあるのかもしれないが、
それとて、ある一国の技術によってもたらされた手段に過ぎないし、 各国の関所によって、情報は封じられているのが現実だ。


1月1日:

12月27日から1月4日までの長い冬休みですが、 とくに遠出もせず、まったりしています。
しかし、うちと大宮、川越あたりをぶらぶらしてるだけでも 全然退屈しません。

さて、無事年も明けまして、年頭のあいさつといきたいところです。

 朝日新聞朝刊によりますと、日本の少子化がさらに進んでいるそうで 2003年は、1000人あたりの出生数が8.9だったとか。 人口半減ペースですよ、これは。

それと、TV東京で午後やってた、リタイア後の海外移住の勧め番組。 フィリピンのメイドが月給1万円とか、タイの豪邸の家賃が7万円とか、
いつまで、円の対外価値が保たれると思ってるんでしょうか?
海外棄民をつくる片棒をかついでるんじゃないですか?

 いろいろ罪つくりな日本経済新聞社ですが、退職者の人生を 棒に振らせるようなことを元旦の番組でそそのかすなんて。

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