2002年11月 日々雑感の目次へ トップページへ

11月29日:

日本テレビによる遠野の偽カッパ騒動について

11月のページになにもないのもなんなので、昨日の新聞記事から 日本テレビによる遠野の偽カッパ騒動について書いてみたいと思います。
 かねてから日本テレビの「電波少年」という番組は物議をかもしてきました。
今回のは、岩手県遠野市のいちばんの観光資源である「河童」を揶揄したという点で悪質です。
もし、この揶揄する相手が権利主張の権化であるウォルトディズニー社だったらどうでしょう?
遠野の市民は「このいたずらで観光客が増えてくれればかまわない」 などととても寛容に受け流していますが、
ディズニー社なら、訴訟問題になるにちがいありません。
もちろん営利企業である日本テレビ放送網社だってうるさ型のスポンサー企業であるディズニー社に対して著作権を侵すような行為をするはずがありません。
それでいて、こうした権利問題にうとい自治体、それも純朴を絵に描いたような岩手県の地方都市を標的にするとは。

マスコミがよってたつべき「弱きを助け、強きをくじく」精神がまったく欠如しており、
まさにその反対を実践しています。
視聴率を獲得するためならなにをしても許される、という雰囲気が同社には充満している。
社内でこのような企画を却下せず堂々と放映してしまう、ということは、同社の常識と
世間の(少なくとも岩手県遠野市市民および私の)常識とは埋められない隔たりがあるということです。

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地元紙:岩手日報より
カッパ騒動で番組スタッフが謝罪

遠野市のカッパ騒動で、カッパに扮(ふん)装させたお笑い芸人を使って騒動を仕掛けた日本 テレビ「電波少年に毛が生えた」のスタッフは
13日夕、地元に謝罪して回った。
カッパの出没地に近い土淵小には、同番組の長浜薫プロデューサーが午後5時ごろ訪問。
高橋康恒校長に「いろいろお騒がせし、迷惑を掛けた。バラエティー番組だったものですから」と 語ったという。
同校ではカッパ出没が気に掛かり、児童が授業に集中できないなど騒動の余波 を受け、
高橋校長は「今後、このようなことがないように」と申し入れた。


「スタッフは訪問前に「カッパの格好をした芸人を連れて謝りに行きたい」と同校に電話したが、
学校側が「それは失礼ではないか」と言ったところ、長浜プロデューサー1人で来たという。
学校 側は「カッパが謝る様子も番組で流したかったのではないか」と、
スタッフの誠意を図りかねている。

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この放送内容が他のマスコミ(東京スポーツ等)で報じられてからもまったく反省や謝罪をしようという意思が感じられない。
起こってしまったことはすべて放送の材料にしようとしている。

はっきり言って、このような会社から 限りある資源、公共財である電波をとりあげてしまいたい。
すなわち放送局免許の停止処分です。
もっとおだやかな措置があるなら、一部の時間帯(営業的に重要である、広告のとれる時間帯、たとえば夜7時から11時など)を別の放送媒体(地方テレビ局や自主制作のテレビ局等)に明け渡すとか考えられないものでしょうか?

わたしは、日本テレビ放送網の番組がいっさいなくなっても、少しも困りません。
もう一つ言っておきたいことがあります。
これは、日本テレビ放送網社だけに対してではなく、放送、新聞、雑誌などのマスコミ全般の従事者 それも社の意思を決定する立場にある人に対してです。

マスコミは、限りある資源(電波、新聞配達インフラ、書籍配達インフラ)を使って定期的に
自社の意思(取材内容 & コメント)を発信しているのです。社会へ大きな影響をおよぼしつつ活動していることを 肝に銘じていただきたい。

インターネットで情報を得るようになってから、マスコミの発信する内容をますます疑うようになった者からの苦言です。

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